平成26年1月25〜26日、第9回目となるESD(持続可能な社会づくりのための教育)フェスティバルを開催しました。大森市長や山脇市教育長をはじめ、伊島・津島学区の皆さんなど、千名を超える大変多くの方々にご参加ご協力をいただき開催できました。心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。岡山弁で「E:えーものを S:子孫の D:代まで」(標準語で言うと「いいものを子孫の代まで」)というわかりやすいESDのキャッチフレーズもうまれました。常設の「京山ESDミュージアム」と特設の「京山ESDサミット」(車座トーク、小中高校生の発表、ワールドカフェ、京山ESD学会、地域の絆プロジェクト、防災学習、ESD検定、劇団公民館の公演、全体会)、さらに京山A級グルメ昼食など多彩なプログラムを通して、地域の一体感と未来への希望を感じました。持続可能な社会を目指して、これからもみんなでESDを推進していきたいと思います。
1階 京山ESDミュージアム
■「まなびの部屋」(体験・展示・資料等配布)
環境省中国四国地方環境事務所がアスエコ(岡山県環境学習センター)協力のもとで行った体験学習コーナーをはじめ、岡山工業高等学校の展示、岡山県生涯学習センターによる体験学習コーナー(新聞紙を使ったエコバッグづくり)や、いろいろな情報・案内・配布物の展示・配布を行いました。
■「おみやげの部屋」(3Rと食器のリユース&バザー)
毎年、一番人気のコーナー。お気に入りを見つけて、大切に使ってあげてほしいです。
■「交流の部屋」(世界の昔遊びと伝統文化)
昔から受け継がれてきた伝統的な遊びや文化を、次代へ伝えていく取り組みで、おじいさんやおばあさんからいろんな知恵も教わりました。今年は在住外国人の方々にも参加いただき、国際交流・国際理解も深めました。
■「体験の部屋」(25日「家をつくる」、26日「まちをつくる」)
山陽ハウジング「木になる情報館」提供のコーナー。自然素材を使って自ら作って遊びながら学ぶ体験コーナー。幼少の子どもから大人まで、木を肌で感じながら、そして楽しみながら体験しました。参加者からとても人気が高かったコーナーです。
■スタンプラリー(25日のみ)
中学生以下が対象。各部屋をまわってスタンプを4つ以上集めると、26日の非常食(カレー)昼食券を提供。さらに、抽選で岡山市特製のESDグッズを提供。想定を上回る反響があり、好評でした。
■会場内の展示
会場(公民館)内の各壁面には、各団体の取り組みなどを随所に展示しました。
2階 京山ESDサミット
■京山から世界へ!ESD車座トーク(25日9時45分〜12時)
この10年の取り組みをふりかえると、京山地区のESDは経済面からの取り組みが弱かったので、京山地区の特色(文教地区で歴史文化教育資産が有形無形にあり、人材も豊富。岡山駅近郊と交通アクセスも良い。在住外国人や転勤族が多い分、国際的でよそ者を受け入れやすい)を活かしてESDを産業化する「ESDツーリズム」に取り組めないか考えてみました。なお、車座トークと地域の絆プロジェクトと全体会の進行や記録等は、岡山大学教育学部(ティーチイン岡山)の院生達が中心になって担当してくれました(ファシリテートは主に森分君がメインになって受け持ってくれました)。
◎グループディスカッションで話し合った結果(事後追加内容を含む)
○ESDがそもそもわかりにくい。ESDを京山ならではの言葉(一言)で言えるようにしたい。
「E:えーものを S:子孫の D:代まで」をキャッチフレーズにして広める。
※事後に「えーものを子孫の代まで」とともに「えーものは先祖の代から」も入れてほしいとの提案あり。
ESDは、過去から現在、そして未来について考える概念ではないかということで。
○学びの場(歴史文化教育資産)を活用しワクワクを提供するもので、ストーリー性をもたせて修学旅行やプチ留学先として京山地区を売り込む(「ESDと言えば京山!!」と言われるように)。
○ESDツーリズムでの収益金がいかに国内外の持続可能な社会づくりに活かされているかを明示することで、お金を出す側が納得できる、出しやすいようにしたい。
○京山地区に多い「大学生や転勤してきた人」を対象にした「地域を知るツアー」を開催する。大学の新入生ガイダンスの中に組み入れてほしい。若者の持つ情報発信力を活かしたい。
○ESDツーリズムセンターを適所に配置し、ガイド、交通、食、おみやげまで産業化したい。喫茶店から赤ちょうちんまで、地区内の飲食店を充実させたい。見るだけでない、地域の暮らしの中に入って体験できるツアーなど、サファリパーク的に地域全体を活かしたい。雇用の場を創出したい。
○ご当地ESDアイドルの誕生、映画の撮影、どんぐりクッキーなどの特産品製造販売を行いたい。
■京山A級グルメ昼食 特選「巻き寿司」(限定150食、500円要)(25日12時〜13時)
津島栄養改善の人達を中心に、津島と伊島の双方が協力して行いました。次代に伝えたい郷土の味です。
■記念式典/小中高生の発表(25日13時〜15時10分)
13時に公民館玄関前で記念撮影を行ってから講座室に移動して記念式典を行いました。式典では始めに本フェスティバルの実行委員長である岡山市京山地区ESD推進協議会の池田会長から挨拶があり、そのあと、岡山市の大森市長と山脇教育長からのお話、国の機関を代表して国土交通省中国地方整備局岡山河川事務所の園田所長からのお話(園田所長はパリのユネスコ本部で勤務されていたことから、ESDの先導機関であるユネスコの考えや期待なども話してくれました)、地元を代表して伊島学区連合町内会の高原会長からのお話があり、最後に京山公民館長から式典の締めのお話がありました。式典の中で、池田会長の方から午前中に行ったESD車座トークで出たESDを一言で伝えるキャッチフレーズ「えーものを子孫の代まで」の紹介も行いました。このキャッチフレーズについては、ESDの本質をついているとして、大森市長がいたく気に入られ、その後、いろいろなところで紹介してくれています。記念式典に引き続き、津島小、伊島小、京山中、岡山工業高校の児童・生徒達が発表しました。津島小の発表に対しては、大森市長とPTAの吉本会長が、伊島小の発表に対しては、伊島学区コミュニティ協議会の村岡会長が、京山中の発表に対しては、PTAの尾島会長が、岡山工業高校の発表に対しては、岡山経済同友会の松田委員長が、それぞれコメントをしてくれました。また、岡山工業高校の発表に対しては、会場からも多くの質問があり、岡山工業高校の先生も加わっての質疑応答が熱く行われました。最後に、岡山市ESD世界会議推進局の浅井局長から全体の総括コメントをいただいて、発表を終えました。
■ムービー京山制作作品上映「池田動物園物語」(25日15時10分〜15時30分)
ムービー京山が今年度制作した新作の作品の中から、「池田動物園物語」を上映してもらいました。今年度、開園60周年を迎えた池田動物園を記念した作品で、京山地区の歴史の1ページを伝えています。
■国際交流 ワールド・カフェ「世界の昼ごはんってなあに?!」(25日15時30分〜18時)
フレンドリー京山による多文化共生のプログラム。今回は、日本、中国、マレーシア、フィリピン、ネパールの5ヶ国のゲストの人たちによるそれぞれの国の昼ごはんの紹介とクイズを通して、お互いに学びあいました。日本からはキャラ弁の実物を、ネパールからは実際に食事の実演もしてくれました。そのあと、各国のお菓子と飲み物を味わってから、グループワークで「食べれないもの」「食べないもの」「お昼ごはんによく食べるもの」「岡山のおすすめの食べ物」について話し合い、相互理解を深めました。さらに、グループ単位で、おすすめ弁当を考え、発表しあいました。秋に行われる「ESDに関するユネスコ世界会議」関係の「公民館・CLC会議」では、京山公民館も分科会会場の1つになることから、その際のおもてなし弁当のメニューづくりに役立つものを考えようと取り組み、5つのお弁当案ができました。
■京山ESD学会(25日18時30分〜20時40分)
食料品売り場では、「遺伝子組み換え○○は使っていません」と書かれた食品が安全だと思われて買われる風潮がよく見られますが、本当にそうなのか、岡山大学の名誉教授を囲んで、学術的な視点からこの問題に踏み込み、情報を適正に判断する目を養う「京山ESD学会」をオプションプログラムとして行いました。ここでは、遺伝子組み換え食品の実食体験も行いながら、楽しく議論しあいました。
■地域の絆プロジェクト(26日9時45分〜11時50分)
支援を必要とする子ども達や高齢者などの地域弱者にとっても住み良い地域にしていくことを当面の目標にして取り組んでいます。今回は、先の中学生や地域の人たちに行ったアンケート調査の結果をもとに話し合いました。今回も、中学生や大学生といった次代を担う若者達とともに議論を深めました。
◎グループワーク「実現できる活動内容を考案しよう!−活動の企画、イベントの立案−」の結果
○1班
☆中学校を主体にして、中学生と触れ合う。地域に根ざしたオープンスクール
→土日が休みであっても、中学生は参加しない。だからこそ、学校のカリキュラムに組み込む。
☆障害者を主体にして、障害者と触れ合う
→誰もが参加できるようなイベントづくり。生活の中で自然に関わる。
☆高齢者を主体にして、高齢者と触れ合う
→伝統文化、社会のマナーを教えてもらう機会を作る。
○2班
☆町内会の活動を共有する。
→活動のPR。回覧板では難しい。一人一人の声掛け。見返りを求めないあいさつ運動の実施。
○3班
☆「さんま」(3つの間…時間・空間・仲間)の重視。カフェの提供。
→公共施設でカフェをつくり、進めていく。いろいろなやり方を試す。
☆時間の問題→経営者側と参加者の間のジレンマ
…時間配分の検討。対象者?費用?→学生ボランティアや地域のボランティアを活用。
○4班
☆地域に出る人、出ない人…「はじめの一歩」が難しい。
→学生は強制参加。大学の新入生ガイダンスを活用する。
☆大学における地域交流のサイクルをつくる。
☆津島と伊島の壁→この間をとりなすのが公民館では?
○5班
☆「ふくすけの日」=支援の日
☆地域通貨をつくる=京山学区で用いることができる。
→高齢者世帯や障害者のいる家庭に提供し、学区内で使ってもらう。
☆民生委員と町内会との連携
☆京山学区における各学校とのかかわり→学校における声掛け
☆京山学区合同での避難訓練実施
○6班
☆大人と子どもの教え合い。(お互いに学び合う関係性をつくる)
→街歩きの実施。防災、犯罪防止のルートを考える。
少人数で街歩き(バリー制)をすることで、誰もがコミュニケーションに参加できる。
(メリット)体力づくり、リフレッシュ、季節のうつりかわりを味わう。
○7班
☆情報の共有。
☆活動の熱意を拡げる…どのように活動に入っていくか。
☆小さな役割から大きな役割へ。スモールステップ。
☆思いやりのある言葉を用いた交流
☆人間的な関係を基礎として…参加しやすい、アットホームな雰囲気をつくる。
○8班
☆地域活動の参加者…子どもや高齢者、主婦はいるが、会社に勤務する人々はいない。
→会社に地域の情報が入らない。
☆企業と地域のむすびつき
☆障害をもつ子どもの社会参加…就業支援のみならず、社会参加もねらいとしている。
企業側も、障害をもつ労働者にもできる仕事を考えることで、自らの仕事の内容を深く見つめる機会ができた。
☆「受け入れる企業」と「障害をもつ労働者」をつなぐサポーターの役割を強化する。
◎事後提案
今後の活動について、できるかぎり多くの団体、人に呼び掛けて実践を広げたい。「ちょっとしたおせっかい運動」 などを広めたい。≪横の協働≫として「ESD地域の絆だより」(仮称)を発行したい。また、≪縦の協働≫として、 京山中学校生徒会やティーチイン岡山との共催行事を実施していきたい。「ボランティアガイドブック」と「自転車マップ」を作成したい。
■避難訓練と防災学習/非常食(カレー)昼食会(26日11時50分〜13時、100円要)
避難訓練を行いました。その後、非常食(カレー)を昼食として食べました。
■第7回ESD検定(ESD入門講座付き)(26日13時20分〜14時)
第7弾ESD検定(ESD入門講座付き)を行いました。修了者には素敵な第7回ESDフェロー認定証を授与しました。
■劇団公民館☆京山公演「つながるねがい」(26日14時〜15時)
今回は、「かぐや姫」の物語を取り入れて、「つながるねがい」という今回のESDフェスティバルのテーマを劇にして演じました。
■全体会「京山から世界へ、つながるねがい」/閉会式典(26日15時30分〜16時45分)
岡山大学大学院の松本さんのファシリテートによる2日間のESDフェスティバルのふりかえりを参加者の皆さんと行ったあと、京山地区在住の参議院議員の谷合議員、環境省中国四国地方環境事務所の築島所長、岡山県教育庁生涯学習課の久芳課長、岡山市ESD世界会議推進局の浅井局長、岡山大学の阿部副学長、京山中学校の徳山校長先生からメッセージをもらい、それらも踏まえて、最後に岡山大学大学院の森分君のファシリテートによるグループワークでの「京山ESD宣言」づくりを行い、2日間のESDフェスティバルを総括しました。
◎「京山地区ESD宣言」
私たちの暮らす京山地区では、ESD=「えーものを子孫の代まで」と考え、過去、現在、未来を通して過ごしやすい生活が続くような人づくり、志の形成をめざします。そのために、次のことを大切にしていきましょう。
【環境】「青い空 きれいな川 おいしい水 豊かな自然・花咲く街角 『笑顔の京山』 安心・安全 住みよさ一番 みんなの京山いつまでも」…すみよい町をつくる京山をめざします。
【経済】「地元京山に眠る様々な地域資源を発掘、活用し、持続可能なESD活動を行う基盤づくりをめざします。」…持続可能なものにするために、今あるものを大切にしていきます。企業・マーケティングの視点を取り入れます。京山MBA講座、京山地域遺産を活かします。
【文化】「『京山八景』―はよけ〜 皆け〜 おいでんせぇ〜―」…「京山八景」というご当地ネタを用いて、外国の方とも触れ合い、つながっていきます。(京山八景一案)@用水、A池田動物園、B妙善寺、C妹尾兼康、D尾針神社、E津島遺跡、F岡山17師団、G京山(経山)
【地域社会】「京山みんなのパラダイス!―プラットホームのような地域づくり―」…自分たちが地域社会で生きてきた経験も活かし、地域の中で思いやりのあるおせっかいを、子ども、高齢者、障害をかかえた人、よそから来られた人などに、世代や立場や境遇を超えて、地域の仲間として触れ合う活動をしていきます。何度も何度も繰り返して触れ合っていくことで、人と人とがつながります。挨拶にプラスして、余談や人とのコミュニケーションを深めていきます。
以上のことを、京山ESD宣言として社会に発信していくことを誓います。