岡山KEEPから京山ESDへ
岡山市京山地区ESD推進協議会への軌跡



<活動の下地>
 岡山KEEPでは、活動の視点の一つとして、「川と共に生きる暮らしと文化の再構築」に取り組んでいます。この活動の下地になったのは、1997(平成9)年から今日まで続いている当該地区を含む旭川流域全体での市民連携ネットワーク活動である旭川流域ネットワーク(AR-NET)の「ふるさとの川とともに生きる」活動、そして、1999(平成11)年の「第55回日本ユネスコ運動全国大会in岡山」に向けて岡山ユネスコ協会が制作したユネスコ環境学習キット「川と共に生きる暮らしと文化」のモデル学習プログラム事例づくりとして、1998(平成10)年から始めた「観音寺用水プロジェクト」で、京山地区を流れている観音寺用水周辺の町内会を中心に取り組んできました。こうした動きの中に、2002(平成14)年のヨハネスブルグ・サミットでの当時の小泉首相による「国連ESDの10年」の提案、ならびに同サミットに岡山ユネスコ協会の池田満之理事が岡山市特別代表に任じられて出席し、ユネスコ主催の「持続可能な未来のための教育」会合にて、現在の岡山ESDプロジェクトのもととなる岡山市の提案を世界に向けて行ってきたことが、現在の京山地区でのESD活動を行う流れを生み出しました。




観音寺用水MAP
作成・配布


<リーディング・プロジェクト>
 京山地区でのESD活動の直接のリーディング・プロジェクトは、2003年度「子どもの水辺てんけんプロジェクト」です。AR-NETなどの活動を通じて、上流域では今も生活の中に川が活かされているのに、下流域ではかつての水場の痕跡が残っているにすぎない現状を知り、自分たちの足元の水辺は今のままでよいのかを調べ考えました。中学生をリーダーとして、特に子どもの視点を重視しながら地区内の全世代合同・学社連携によって行ったことにより、単に環境教育・環境学習という枠を超え、地域が抱えている課題を地域全体で認識・共有し、地域としてその改善に取り組んでいこう、また、そうした活動を通じて地域を担う人づくりを地域で行っていこう、地域内の「絆」を再構築していこうという気運が高まってきました。

<岡山KEEPの立ち上げ>
 このリーディング・プロジェクトの成果を踏まえて、地区内の小中学校の校長先生や公民館長、NGO/NPOの代表、地域の代表などといった主要セクターの代表者が集まり、協働して岡山KEEPを進めていくことを合意し、2004(平成16)年度から本格的なESDの取り組み、岡山KEEPを始めました。

<京山地区ESD実行委員会の立ち上げ>
 ESDを地域全体に浸透させていくため、2005(平成17)年度「地球温暖化対策国民運動に係る地域啓発事業」(経済産業省中国経済産業局主催)を京山地区で受け入れ、環境と経済と地域社会の両立のもとに地球温暖化防止を地域で進めるこのモデル事業を活かして、岡山KEEPを京山ESDへと発展させていく京山地区ESDデー・フェスティバル(2年目からはESDフェスティバルに改名)の開催へとつなげました。フェスティバルに向けては、岡山KEEPと共に、地区内の主なコミュニティ団体が入っている京山公民館運営協議会が中心になり、京山地区ESD実行委員会を立ち上げ、地域のESD推進のための母体づくり、仕組みづくりにも取り組みました。フェスティバルに向けた数ヶ月間、地区内の小学校、中学校、高校、大学、町内会、婦人会、老人会、企業などが主体的に参加した「自分たちの地域版の地球温暖化対策チャレンジシート」(京山チャレンジ)に取り組むなど、津島小学校長の田中 守先生が言われた「1人の100歩より100人の1歩」を胸に刻み、地域のESDを具体的なテーマを持って進め、それによって岡山KEEPが目指した活動を京山ESDへと発展させていきました。2006(平成18)年2月には、当時の橋本元総理大臣(故人)、小坂文部科学大臣、小池環境大臣などを訪問したり、地球環境国際議員連盟主催のシンポジウムで活動発表と意見交換などをしました。そして、同年3月29日、当時の小泉総理大臣を訪ね、ESDに関する質問や提言などをしました。







小泉総理大臣(当時)を表敬訪問・提言


<京山地区ESD推進協議会の設立>
 ESDを地区に根ざした長期的な取り組みにしていくため、京山地区ESDデー・フェスティバルのときに設置した岡山市京山地区ESD実行委員会をベースにして、地区の主な多様な主体が参画した 「岡山市京山地区ESD推進協議会」を平成18年7月8日に設立し、ESDを地区全体の長期的な取り組みとして定着させようとしています。なお、この協議会の特色は、子どもが重要な主体として対等に参画し、世代を越えた公平な連携が行われている点にあります。






吉備中央町豊野公民館が視察来館、活動などを紹介
(平成19年2月22日)


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